「うっ…たぁー…」

ズキズキと痛む頭を擦りながら、目をさます。
体の半分が、川に浸かった状態になっているのに気付き、げんなりとしながら川から出た。

「あーもー…びしょ濡れ」

Tシャツをギュッと絞るとボタボタと大量の水が出てきた。
濡れた髪も絞りながら、幸姫はキョロキョロと辺りを見回した。

辺りに広がる木々を、溜め息混じりに見つめた。

「生きててよかったけど…ここ、どこよ」

とりあえず、川沿いをいけば、母に会えるだろうと思い、幸姫は滝壺を目指して歩き出した。