ふらふらと歩いていると、空が白んできた。太陽が昇り、陽がさし始める。


愛姫、いい人だった。


歩き疲れて、川辺に座って休んでいたら、不意に、愛姫の顔が浮かんできた。


私のこと、心配してくれてた。


てっきり嫌われてるものだと思った。だから、最初はあんなぎこちない雰囲気だった…

そこまで思って、ふと気づく。



違う。
そうじゃない。


絶対に、嫌われてるって思ったから。
私が最初から身構えてたから。
…だから、あんなへんな雰囲気になってたんだ。


「あんなにいい人だったのに」


ため息をついた。
自分が本当に嫌でたまらない。

「今の自分を、誰にも見せたくないし、見られたくない」

そう呟くと、顔を膝に埋め、静かに泣いた。