城中がバタバタと忙しそうな日々が続いていたが、いよいよ出発が明日に迫った日の夜。
幸姫は意を決して政宗の部屋を訪ねた。
「政宗…起きてる?」
襖越しに声をかける。
が、返事がない。
…いないのかな。
そう思った時だった。
「政宗様は愛姫様のところだ」
声がした。そっちを向くと、そこには少しばかり険しい表情をした小十郎がいた。
「そこで何をしている」
聞かれて幸姫は答えた。
「あ、政宗…様を探してたんだけど、いないみたいで」
小十郎は小さくため息をついた。
小十郎をじっと見つめる。
「愛姫様のところなんだ」
小さく呟く。
自分で言って、胸の辺りがギュッと痛んだ。
…正室なんだもん、行くのは当たり前。
「明日は戦に発つからな。いつも前日は愛姫様のところへ行かれる」
小十郎に言われてまた胸が苦しくなった。
幸姫は自分の心の中がバレないようにと、必死で何でもないような表情を作り、そっか、と小さく呟いた。
幸姫は意を決して政宗の部屋を訪ねた。
「政宗…起きてる?」
襖越しに声をかける。
が、返事がない。
…いないのかな。
そう思った時だった。
「政宗様は愛姫様のところだ」
声がした。そっちを向くと、そこには少しばかり険しい表情をした小十郎がいた。
「そこで何をしている」
聞かれて幸姫は答えた。
「あ、政宗…様を探してたんだけど、いないみたいで」
小十郎は小さくため息をついた。
小十郎をじっと見つめる。
「愛姫様のところなんだ」
小さく呟く。
自分で言って、胸の辺りがギュッと痛んだ。
…正室なんだもん、行くのは当たり前。
「明日は戦に発つからな。いつも前日は愛姫様のところへ行かれる」
小十郎に言われてまた胸が苦しくなった。
幸姫は自分の心の中がバレないようにと、必死で何でもないような表情を作り、そっか、と小さく呟いた。


