陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

「…なぁ、あの娘は何者だ?」

成実に問われて、小十郎は動きが止まる。

「政宗のやつが、誰にでも手が早いのは知ってるが、今回みたいに、軍略会議に連れてきたことは一度もない。しかも、だ。まるで存在しないかのように、俺たち家臣に紹介すら無しだ」

そう言って、成実は視線を、小十郎から幸姫へと移した。

「…気にしなくていい。あれは、政宗様の気まぐれで」

「小十郎さん!」

そう言いかけたところで、幸姫が声をかけてきた。

「私が偵察に行ってきてもいいかな!?」

幸姫の言葉に、小十郎は顔をしかめた。


何を今度は、突然言い出すのだ、この娘は…


「駄目に決まっているだろう!」

ピシャリと一言。

が。

「俺は構わねーよ?」

成実が笑いながら答える。

『成実!?』

政宗と小十郎の声がハモった。

「男一人より、女連れの方が敵の目も欺きやすいしな」

な?と同意を求めてくる成実に、幸姫は少し困惑した表情になった。

「え?や、私はそうじゃなくて、一人で」

「お前は残ってろ。俺が幸姫と行って」

「駄目です」

まるでコントのようなやり取りに、成実は思わず吹き出した。