「どのような格好をしているのだ?」

小十郎に聞かれて、幸姫はよく思い出してみる。

「えっと…確か、私と同じような格好してる。ジーパンにTシャツ。んで、確かカーディガンを羽織ってたはず」

幸姫の言葉に、小十郎は首を傾げた。

「…なんだ?じーぱん?てぃー…?それは一体どういうものだ?」

「え?」

小十郎の言っている意味がわからなかった。
一瞬、幸姫は言葉に詰まった。

「だから…ジーパン。ズボンにシャツに、カーディガン!」

その他に説明のしようがない。
結局、同じことをもう一度言っている自分に、少し落ち込んだ。


…私のボキャブラリーって。


がっくりとうなだれている幸姫を尻目に、小十郎はまだ首を傾げていた。

「何を言っているんだ?一体」

小十郎の反応に、幸姫はいくらなんでもおかしい、と思い始めた。


ちょっと…変、だよね?


ジーパン、ズボン、シャツ、カーディガン。
どの服も、たぶん、ほとんどの人が知っていて、見たことがあるはず。

それなのに、目の前にいる男性は、それが一体何なのかが分からないと言う。