陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

小太郎の服の裾を、思わずぎゅっと握る。
それに気付いた小太郎は、そっと幸姫の手を握り、幸村を睨みつけた。
幸村の足が止まる。

「…幸姫」

少し寂しそうな表情を浮かべながら、幸村が名前を呼ぶ。
また、ズキンと痛みがはしる。

心臓が、ドクンと大きく音を立てる。
脈が速くなるのが自分でも分かった。


やだ。
なんで…なんでこんなに苦しいの。


『ゆきむら、こうきのこときらい?』


幼い自分が、誰かに向かって必死で訴えている姿がフラッシュバックする。


『ゆきむら、こうきのこと、きらい?』


「イヤ、やめて…」

ずきずきと頭が痛む。
早くなる鼓動。
息がうまくできない。

「幸姫…?」

心配そうに顔を覗き込む小太郎。


『幸姫』


誰かが私の名前を呼んだ。
誰かが。

あなたは一体…誰なの。



ズキンと頭がひどく痛んだ。