陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

頭の中でそのフレーズが浮かんだ。

「え…?」

今、私なんて思った?

「本当にあったことはないんだな?」

小十郎に言われて、小さく頷く。

「知ら…な、い。うん。知らない、ハズ」

呟くように、まるで自分に言い聞かせるように、小さな声で答える幸姫。


知らない。
本当に、知らない。
会ったことなんて、ないもん。


そう思ったときだった。

ズキン、と鈍い痛みが走る。

「っつ!」

「どうした?」

頭をおさえて表情が歪んだ幸姫を見て、小十郎は少し心配そうにする。

「う、ううん。何でもないです」

幸姫は深呼吸をすると、ふるふると頭をふった。

「ほんとに、私知らないです。あんな人」

うん、知らない。
第一、こっちの世界の人に知り合いなんているはずないじゃん。


うんうん、と頷く幸姫を見て、小十郎はそうか、と小さく呟くと、つかんでいた手を放した。