「もう、人を殺さないって、約束してほしいの」

幸姫の言葉に、返事はなかった。

「助けてくれて、本当に嬉しかったし、感謝してもしきれない。だけど、私…どんな人間でも、人が、人の生を絶つことはしちゃいけないと思うの。だから…」

わかってる。
そんなことができる世の中ならば、後の世に、戦国時代なんていう言い方、きっとされなかった。

自分の言っていることはキレイゴトなのだと。

「すまなかった」

小太郎の言葉に、幸姫は思わず顔をあげた。

「…人が死ぬのは、嫌か?」

聞かれて、幸姫は小さく頷いた。

「わかった。お前がそういうのであれば、約束しよう」

小太郎の優しい笑顔に、幸姫は思わず涙がこぼれた。

「泣くな。今はお前が、俺の主なのだから。もっとしっかりしろ」

小太郎がぎゅっと抱きしめてくる。
幸姫は必死でぐっと、涙をこらえる。



「ごめんね、こた。

ごめん。



ありがとう」