あの2人の不安げな表情は、小太郎が助かるかどうか。そこからくるものじゃなかった。
自分達が助けている人物が、小十郎や喜多の、あるいは、政宗の敵なんじゃないかっていう不安からくるものなんだってことは分かった。
…これでもし、本当に小太郎がヤバイ人だったらどうしよう。
おはるさんとおあきさんに迷惑かかったらどうしよう。
自分だけで解決できればそれが一番だった。
だけど、そんな事は当然無理なのは分かってたし、何より、あの時は、そんな事にまで頭が回らなかった。
止まっていた手を再び動かしながら、幸姫はポツリと呟いた。
「見捨てるなんて…できないよ」
誰かに迷惑をかけてしまう事を心配するよりも、あの時はただ、目の前で倒れた小太郎が、もしも死んでしまったらどうしよう。
ただ、そのことだけが幸姫の頭の中を占領していた。
そして当然。
小太郎を見捨てて行くなんて選択肢は、自分の中にはなかった。
「でも、これからどうしよう」
洗っても洗っても落ちない手ぬぐいの血を、幸姫はジッと眺めた。
自分達が助けている人物が、小十郎や喜多の、あるいは、政宗の敵なんじゃないかっていう不安からくるものなんだってことは分かった。
…これでもし、本当に小太郎がヤバイ人だったらどうしよう。
おはるさんとおあきさんに迷惑かかったらどうしよう。
自分だけで解決できればそれが一番だった。
だけど、そんな事は当然無理なのは分かってたし、何より、あの時は、そんな事にまで頭が回らなかった。
止まっていた手を再び動かしながら、幸姫はポツリと呟いた。
「見捨てるなんて…できないよ」
誰かに迷惑をかけてしまう事を心配するよりも、あの時はただ、目の前で倒れた小太郎が、もしも死んでしまったらどうしよう。
ただ、そのことだけが幸姫の頭の中を占領していた。
そして当然。
小太郎を見捨てて行くなんて選択肢は、自分の中にはなかった。
「でも、これからどうしよう」
洗っても洗っても落ちない手ぬぐいの血を、幸姫はジッと眺めた。


