陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

なんだかなぁ…


水を張った桶の中に、血のついた手ぬぐいを入れて、ごしごしと洗う。
少しでも、血の赤色が薄れるように必死で。

水に血がにじみ出てくるのをみて、幸姫の手が一瞬止まった。


小太郎を連れて戻ったのは、単純に、目の前で人が死ぬのが嫌だったから。
ただ、それだけ。


おはるとおあきには感謝している。自分では、あんなに的確に処置は出来なかった。
軽く手当てした、とは言っていたが、ちゃんと血を止めて、傷口も縫ってくれた。
医者でも何でもない人間が、あそこまでなんで出来るのか。幸姫は不思議に思ったものの、今自分が居る場所が片倉家で、時代が戦国時代なのならば。もしかしたら、できて不思議はないのかもしれない、とも思った。

だが、終始困惑した表情を浮かべ、治療後にも不安そうな顔をしていた。

それを思い出して、幸姫は小さな溜息が出た。

困っている人がいたら、助けてあげたいと思うし、まして死にかけている人がいたら、なんとかしないと、と思う。

たぶんそれは、時代とかそんなもの関係なくって、誰だって思うことだけど。


単純に、ただそれだけで動く事が出来ないことがあるんだと、改めて認識させられた。