不気味な笑いと共にゆらりと立ち上がった俺に、少年は思わず後ずさる。
「な…何笑ってんだよ…気色わりぃ…」
上がりっぱなしの口角をますます吊り上げながら、俺は少年の怯えた瞳を見据えた。
俺が探してるのが…
食いモンだと…?
この俺が
その日暮らしだと…?
この俺が探してるのは…
3 億 円
なのになぁ…?
「クッ…アハハハハ!!」
笑いが込み上げて仕方ない。
何も知らない愚か者め。
俺は今から億万長者になるというのに。
お前みたいにちまちまバイトなんかする必要さえなくなるのに。
「な…何お前…!頭イカれてんじゃねーの!?」
そうだ。
気の済むまで蔑めよ。
言いなじれよ。
「ククク…ッ」
身体をカクカクと震わせて笑う俺に、少年は顔から血色を失わせた。
「あ…危ねーヤツ…!!」
少年は両の手で自身の身体をギュッと抱え込むと、唇を震わせて店の中へと飛び込んでいった。
そんなに…
寒かったのかなぁ…?
「だから出て来なきゃいいのに…クククッ…」
おかしくておかしくて
仕方がない。


