「………!?」



お…おい…

何でだよ…


んなわけ…ねぇだろ…?


だって確かにさっきジーンズの右ポケットに感じた紙の感触は…


何度も何度もポケットの中をほじくり返す。


何で…

まさかほんとに…





「…な…い……?」




俺がついさっきあの馬券を仕舞ったのは、確かに右の腿辺りにあるポケットだった。



「う…嘘だろ…!?」


零した声が、自分でも信じられないくらい泣きそうだ。


左のポケット…もう一度右のポケット…



後ろにある二つのポケットにも、底が抜けるくらいに手を突き刺して中を探った。


入れた記憶はないが、一応黄ばんで薄汚れたジャンパーのポケットも中身を裏返して確認してみる。


「…………」



なのに…




「馬券が……ない…」





自らの顔から、一気に血の気が引くのを感じた。