ピピピッ…ピピピッ…


「~~~っ」


枕元で鳴り響くものを、布団に潜り込んだまま手だけを出して探す。


苛立った右手はザッザッと乾いた畳を擦るばかりで、何の手応えも掴めない。


「くっそ~…何処にあんだよ~」


ピピピッ…ピピピッ…


無機質な高音に、俺の右手はひたすら空虚な狐を描く。


この寒さでは、意地でも布団から出たくない。

カビた匂いが少し鼻を刺す、薄っぺらい布団。

さすがに12月の頭に煎餅布団一枚は辛かったが、貧乏な俺には命の布団だった。