先輩は、そう言うと急に立ち上がり、あたしに背を向けた。

「先輩…?どうしたんですか?」


先輩は、少し苛立っているようで。頭を掻くと、もう一度あたしの瞳を見た。

「あぁー!どうしたら上手く言えるかな」


「先輩?」


「自分でも、よく分からないんだよ」

よく分からないって…なにがよく分からないんですか?


こんな先輩を見るのは初めてで。少し驚いていると


「気付いたら、アイツのことよりも、ヒカリのことばかり考えてた」


そう言った瞳は真剣でまっすぐな瞳。

「こんな気持ちは、初めてなんだよ。アイツと別れて、こんな気持ちになったの…俺…初めてでさ…」


だから、好きだと思った…。


だから…付き合いたいと思った…。


これじゃ駄目か?


先輩の瞳は、そう叫んでいるように見えて…。


あたしの瞳から、ポトリと雫がこぼれ落ちた…。