廊下で先輩を待たなくなっても、心の中はずっと変わらず先輩に支配されたまま。

つい、こうして先輩がいないか探してしまう。


「美空ぅ…」

「なに?ヒカリ」

「恋ってさ。どうしてこんなに苦しいんだろうね」


机に頬杖つきながら美空に聞いた。


美空は、その辛い恋を自分が選んでるから辛いんだよって言った。

そうなんだよねと思った。恋が全部辛い恋とは限らない。

だって、この教室を見渡せば幸せな顔で笑う恋人達がたくさんいるからだ。


あたしが先輩を嫌いになれないから。だから恋は辛いと思ってしまうんだ。


「ねぇ、美空。どうしたら先輩のこと。嫌いになれるかな?」

「そんな事。あたしにも分からないよ。それに、あんな事されても、まだ先輩を好きだって思うヒカリの気持ちも分からない」


美空の言葉にあたしは「だよね…」だけ答えて視線を床に移した。