君にハートを盗まれた。


「あんた…市川くんが優花の事を本気で忘れてると思ってるの?」


ズキン…心にまた棘が一本突き刺さった。


宮沢先輩の周りで、クスクスと笑い声が聞こえてきた。

まるで、愚か者を嘲笑うように。

「そんなわけあるはずないじゃん。」
「ねぇ。市川くんが優花の事を忘れるはずないって。あんなに仲が良かったんだからさ」


“あんなに仲が良かった”


聞きたくない言葉に耳を塞いだ。



「やめてよ…」


そんな事…知りたくないの…それ以上…言わないで…。


「市川くん、優花に惚れまくってたからね」



聞きたくない…!


両手で耳を塞いだまま、首を激しく横に振った。



聞きたくない!

聞きたくないよ!