「レンファーって誰?僕を知ってるの?」




もう手放せなくなった上着を引き寄せながら、寒さでかすれる声で尋ねた、かすれたその声でも美しく響いた。


「おいおい!冗談だろ?」




じっとレンファ―を見たあと静かに言った。




「神隠しかよ・・・」





青年は痛ましい、といった顔つきで少年、レンファ―の顔をみた




それはレンファ―がもし注意深くみていたなら、単なるその場の同情ではなく心の深い所から湧きでている悲しみと気付いたかもしれない。




青年はつとめてゆっくりと言った




「俺はアレク、お前とは最高の親友さ」






アレクは自分の声が余りにも優しいのに驚いた、




悲しみしかないこの現実に、今まさに絶望した者にしては上出来だと思いつつ・・・・




「とにかく、村に帰ろう」