ヤクビョウ神†天使の微笑み†

「ん~・・・

 妙な事件、か・・・」

 刹那はあの警官が言ってたことを繰り返す。



『たぶんこの前起きた事件のことね。
 “ネコマタ事件”
 ニュースでやってたの見たわ』



 ネコマタとは、尻尾が2つに分かれ、よく人に化けて出るといわれるネコの妖怪だ。

 夜、1人で何もない道を歩いていると、突然背後から襲いかかってくるという。



「先月、会社帰りの中年の男性が夜遅く土手道を歩いているところを、背後から何者かに鋭い刃物か何かで切りつけられ、多量出血により死亡。
 翌朝、ランニングをしていた女性に発見され、現場調査の結果、死体からはネコの毛がいくつも見つかる」

 刹那はパックのスパゲッティソースを鍋から取り出して、既に皿に盛られたスパゲッティへとかけながら話す。

『目撃者ゼロ、手がかりはネコの毛のみ・・・

 迷宮入りしそうな感じね』