ヤクビョウ神†天使の微笑み†

「はぁ・・・」
『はぁ・・・』

 2人は安堵の息をして、もう一度あの女性の方へと視線を移すが、



「あれ?
 あの人どこ行ったんだ?」

 既に着物の女性の姿も、あんなにたくさんいた幽霊もみんな居なくなって、今は川のせせらぎだけが聞こえるのみだった。

『ねぇ、さっきの人、警官が言ってた事件に関わってそうじゃない?
 なんか怪しいニオイがするわ』

 雫は刹那の横で腕を組んで言う。

「どっちにせよ。
 調べる必要がありそうだね」

 2人は何かを考えている顔つきで、しばらく川辺を睨んでいた。





 ・ ・ ・





 マンションに戻って来た2人は、まだあの女性のことで引っ掛かっていた。

「ただいま~」

『はい、お帰りなさい』

 ひとまず挨拶を交わして中へと入っていき、刹那はマフラーやコートをハンガーに掛けて台所に向かい、鍋に水をいれて沸騰させ、パックのスパゲッティソースを入れる。