放課後の屋上。
告白スポットには最適のこの場所で一人の少女がたたずんでいた。

「ﾁｯ…遅いんだけど…」

苛立ちを隠しきれないのか自分の腕に巻かれてある腕時計を見ながら扉を見つめている。

その時ゆっくりと屋上の扉が開けられ、比亞が入ってきた。


「遅い!!」

「ごめん…先生に呼ばれて…」

「言い訳はどうでもいい!!それよりどうなの？あの女は誰？何者？？」

目を大きく比亞に睨ませながら早口で言う
比亞はそれに動じずに答える

「愛華さんは…普通の生徒です」

「そんな訳ない!!じゃあ何で私達のこと知ってんのよ！？」

「…」

「絶対、早紀と関わりをもってる奴よ！」

「…調べても、そのようなことは出てこなかった」

比亞は静かに目を閉じる

「はあ！？何それ！！拓也のこと知ってるのにそんなわけない!!」

「それでも、出てこなかった」

「ﾁｨｯ糞この役立たずが！」

加奈は手に持ってたジュースの空き缶を比亞に投げた
比亞は小さく下へ俯き、空き缶を当てられても然程変化はなかった

「…まあいいわ。じゃあどうすれば…」

「加奈さんは…拓也君のこと好きなんですか？」

比亞は下へ俯きながら言う
それが気に食わなかったのか、さらに顔を険しくさせた加奈が答えた

「そうよ！じゃなきゃ早紀から奪おうとまでしないじゃない！本当、今考えるとあっと言う間だったわね！！拓也に嘘吹き込んだだけで避けられて、簡単に諦めちゃうんですもの！」

盛大に笑いながら相手を馬鹿にしたように言う
それが悪い方向へ導くとも知らずに


「…拓也君のために、どうしてそこまでできるんですか？」

「はあ！？もちろん好きだからに決まってるじゃない！」

「好きだから…それだけで…ここまで尽くせるんですか？」

比亞が前に顔を上げ、加奈と向き合う形となった
加奈でさえ見なかったような真剣な眼差しで