「それ…いつ撮ったのよ!?」
「あんたに教える筋合いはない」
加奈に構わず携帯をよそよそとかばんの中にしまい込む愛華
「パシらせるどころじゃすませないんだから…っ!いじめてやる!!」
「ああ、それなんだけどさ」
思いたったように加奈の言葉を遮る
「そんな落とし前つけてもどうせ本人にチクれば怒るんでしょ?じゃあつける意味ないと思うんだよね。ま、殺したり記憶消せば話は変わるけど」
「はあ!?生意気言ってんじゃ…」
「あとさ」
相手のことなど見向きもせずに自分の意見だけを押し付ける
「泉下高校って一応県内では1位2位を争う公立高校なんだけど…あんたいけるような頭もってないよね?あんたの父さん大企業の社長さんなんでしょ?裏利用して高校入学したわけ?地味に気になるんだけ…」
「うるさいうるさいうるさいいいい!!!」
今度は愛華の言葉を加奈が遮る
「あんたやっぱり早紀のグルだったのね!?許さないんだから!確かに拓也とはまだ恋人になってない…でも奪ってやるわ!何が何だろうと奪ってやる!」
加奈の声の大きさに苛立ちを感じ、片耳を人差し指で押さえつける
「何のためにこの学校にはいってきたと思ってんの!?私の邪魔をする奴は誰だろうと許さない!!失せなさいよ!!!!」
加奈の頭のネジがはずれた様子を見てため息をつき、面倒くさそうにこめかみをかいた
「ふーん。あんた何も気づいてないんだ」
片まゆを少し上げておもしろそうな顔つきをして言う
「…何よ」
「あんたが拓也くんを好きでも拓也くんはあんたのことを嫌ってる…ていうか、うんざり思ってる」
「…冗談もほどほどにしろよ」
「あんたは拓也くんに親和欲求を高めすぎた」
「親和欲求…?」
「……面倒くせ
親和欲求ってのは根本的に誰かと一緒にいたいと思う欲求のこと。ま、そういうこと。諦めな」
「誰がっ!!」
「どちらにしろあんたは拓也くんと離れ離れになることになるんだしね」