「あんた、盗み聞きしてたでしょ」
学校の帰り道
太陽は西へと沈みかけ、赤い夕焼けと町の明かりが優しく道を照らす。
―ほれきた
先ほどの顔に貼り付けた笑みを疑いたくなるほど顔中にしわを寄せて愛華に堂々と喧嘩を売る。
「何のこと?」
「とぼけないでくれる?教室の前でずっと聞いてたんでしょ!!」
「ばれた?」
「やっぱり…!どうせあんたが早紀のグルなんでしょ!
「さあ」
目を宙に泳がせて知らん振りをする
「とぼけないでくれる!?どう責任つけてくれるつもり?」
「ふーん、どう責任とればいいっての?」
愛華が興味なさげに聞くと加奈は口角に弧を描いて言う
「そうね…これから色々とパシらせてもらおうかしら!おごらせ放題使い放題!なんていいかも♪」
「うわー悪趣味ー」
どうでもよかったのか棒読みで適当に答える
「盗み聞きする方が悪趣味よ」
「どうだか」
今度は愛華が口に笑いを含めて
「拓也くんとはどう?」
なんて聞く
「!…あんたそこまで知ってるの!?」
「付き合ってるんだって?」
「え…ええ!ラブラブなんだから!!」
「ふーん、そうかな」
「どういうことよ!?」
すると愛華はスカートのポケットから仕事用の黄色い携帯を出し、加奈に向けて開けてみせる
「これ見るとあんたがべったり拓也くんとやらにくっついてるだけにしか見えないんだけど」
「なっ…!」
それは拓也の後ろから抱きつく加奈の姿だった
もちろん拓也の見下した、いかにも"下品なものを見る"かのような顔つきも一緒に。

