長かった髪を、バッサリと切り、明るく染めた。 今日は入学式。 昨日届いた制服。スカートは、短く切った。 机の上の勉強道具は、全て棄てた。 もう、私にはいらない。 真っ黒な長い髪も、 上品な素振りも、我慢も。 『ッッ!さゆり!なんなの、その髪は!』 母の言葉を無視して、ローファを履く。 行ってきますを言わずに扉を開ける。 初めてのこと。 もう、悲しさはない。 私は負け組。だからなんだというのだろう。 そんなの、どうでもいいことなのに。 .