その日の帰り、

更衣室で由佳がものすごいテンションで話しかけてきた。


「桐谷さんが高校の時消えちゃった元カレだったんだ!
また再会して結婚なんて!すごい運命!!

いいな〜〜



でもさ…


桐谷さんと結婚すると


“桐谷すい”になるんだね…

“切りやすい”

くくくっ…」


由佳はお腹を抱えて笑った。



あ…ほんとだ……


ますます変な名前じゃん。。



更衣室を出て、ビルの外に出ると、葵くんの車が停まっていた。




「デートぉ〜!!うらやましい!じゃあね!」

由佳と別れて葵くんの車に近づいた。


「飯、食いいくぞ。乗れ」



「うん…」


私は助手席に乗った。



「今日…ごめんね…

みんなの前で…あんなこと叫んじゃって…」



「いいよ…別に」



葵くんは車を走らせた。



「だってよくわかんなかったんだもん。


社内で会っても無視するし…」



葵くんは笑った。


「俺さ…実は…


あ…いいや」



え?なに???



「何?気になるんだけど」




「いや…

俺もう月曜日の朝の朝礼で、『受付の藤枝さんと結婚します』って社員みんなに言っちゃったんだよ。


だから…なんか照れ臭くてさ…」




え−−−!!!

みんなにって………



受付は朝礼に参加しないから


知らなかった…





「ちょっと待って…


私まだ結婚しようって言われてない!!」




付き合う時も、再会した時も…

結婚の時までも…いつも『この関係って何?』って不安にさせて…もう!!




「あ…今日レストラン予約してあるから


ちゃんとこれからプロポーズすっから!

ちょっと待っとけ!!」






−−−Fin−−−