「あ…あのぉ…」



「ん?」


葵くんは運転しながら返事した。


横顔を間近で見て、あの頃の面影をみつけてうれしくなった。



「い〜〜〜〜んってしてくれます?」




「んあ?い、い?

い〜〜〜〜〜」



「ちょっと、ちょっとこっちむいて」

葵くんは笑った。


「ちょっと待て、信号赤になってからな」



あ、そっか。




信号が赤になり、

葵くんはこっちを向いた。


「い〜ってして?」




葵くんはい〜〜〜とした。




あ!八重歯があった!

よかった………




やっぱり葵くんなんだ…




「なんだよ。変なやつ!」


葵くんは私の頭を片手でポンポンとした。



私は泣かないようにお茶をゴクゴク飲んだ。