その日の帰り

【今日はマックじゃなくて駅の改札で待ち合わせしよう。葵】



桐谷くんからメールだ…


「菜々美、今日は桐谷くんと改札で待ち合わせしているから…マックには行かないけど…菜々美大丈夫?」


下駄箱で菜々美に声をかけた。


「うん、わかった…」


元気ないな…菜々美…


「風間くんとよく話し合ってみたら?」



「うん…」


言いにくいのかな…








マックの前で菜々美と別れ、私は駅の改札に向かった。




桐谷くんが改札の前にいた…けど女の子も一緒にいた…。。

ちょっと派手な女の子…

誰………?





私が近づくと女の子は逃げていくように走って行ってしまった…



「桐谷くん…お、お待たせ」



「全然待ってないよ、じゃ、行くか」



ちょっと

ちょっと!!

今の女の子の説明は無しなの…?


桐谷くんは何事もなかったように、改札を通った。



何!!!


「桐谷くん!」


私は桐谷くんの腕を掴んだ。


「なんか…やだ!

隠し事は…やだ!」



私は桐谷くんを睨んだ。


「隠し事…?」


桐谷くんは、すっとぼけた顔で私を見た。


「さっき女の子が…声かけてたじゃん…」





「あ…」




桐谷くんは、くくくっと笑いだした。



「すいちゃん…やきもち焼いてんの?」



くぅ〜〜〜笑うことないのに!



「彼女いるのか聞かれただけだよ、
あれが彼女だよってすいちゃん指差したら逃げて行った、そんだけ」


私は手を握った。

「ちゃんと…説明してほしかった…」



桐谷くんは私の頭をなでた。

「気にすんなよ、俺はすいちゃんひとすじだからさ」



桐谷くんは黒目いっぱいのくりくりの瞳でチラっと八重歯を見せて笑った。