優しい刻

「私が今悩んでいるのは、自分が分からなくなってしまってどうすればいいのか、それさえも分からなくなってしまったといいますか……」

上手く表現出来ない。

言葉に詰まって佐々木さんを見ると、佐々木さんは私をじっと見つめていた。
ゆっくりで良いんだよ、とでも言うかのように頷いてみせた佐々木さんに、私は一度目を閉じて深呼吸をした。


「『優しい』ことの意味を知りたくて、私は元々考えていた二つの進路の内『看護師』の道を選びました。看護師に私の理想がある気がして……」


しかし。

『看護師』もやはり理想でしか無いものもあった。

機械的に業務をこなすだけで、患者さんの心を察して何かをしてあげたいと思う人は案外少ない。

『優しい』の答えは、未だ見つからないまま――……

「職場の人たちにもやる気があまり見えなくて……」


「優美さんはどうしたいんだい?」


俯いた私を見て言った佐々木さんの言葉に


私は、はっと我に返る様な衝撃を受けた。