夜は思い出に浸っていた。


隣にはルイもいた。


「何もしないでよ」

「わかってるって」


何か起きても本当はいいと思ってはいた。


だけどルイは何もしなかった。


それはルイの優しさだった。




実は今日、母親のところに会いに行った。


本当はイヤだったけどルイがいつまで経ってもそんなこと言ってられないよって優しく背中を押してくれた。


母親は泣きながら私を抱きしめた。


私も黙って母親に抱きしめられていた。


ほんと、私はこの人の元でしか生まれなかったのだろうとそのとき実感した。


「お互い頑固だもんね」


ルイが後ろで微笑んでいたのを今でも覚えている。