「俺は母さん似じゃないから、

母さんみたいなことはできないけどね。」


急に彼は私に微笑みかけた。


その顔は切なく感じた。


「何が何だろうと・・・

俺はアイカと一緒にいる。最期まで。」


彼が静かにそう言うと風が吹いた。


目にごみが入り、私は目をこすって、

目を開くと、もう彼の胸の中だった。


「アイカは・・・最後の日、何がしたい?」


私は―。


“家族団欒”


それはもう叶うことがない。


じゃあ、何を望む?


絵理が前に集まった友達プロフィールのファイルを一枚一枚めくりながら、呟いてたっけ。


「やっぱりだいたいの人って、誰かと一緒に居て、最期を待ちたいよね。」


その言葉を思い出す。


人は愛を見捨てることはできるけど、孤独を愛することはできない。


私もそうだ。


最後の最後には隣に誰かがいてほしい。


私はルイの背中をぎゅっと抱きしめ返した。


「みんなと・・・みんなと一緒に・・・いたい・・・」


それが私の最期の願いだ。