でも、それは絵理の意見だ。


私の意見ではない。


私は何のために学校に行くのか?


まるで長老会の中学生バージョンみたいなところに、

わざわざ部屋着から制服に着替えて行く必要があるのか。


―でも、そんなこと言ったらキリがないんだ。


私たちはやがて“無”になる。


今、この生きている日々は自己満足にしかすぎない。


私にとって学校に行くことは自己満足に値するのである。


これで私は死ぬまで学校に行き続けたのだ、と。


校門を通ろうとすると、

何か険しい顔をした教師とうずくまっている年寄りを見かけた。


「困りますよー。」


教師に呆れられているのは猫おじさんだった。


「頼む…わしの一生のお願いだ…。」


一生のお願い…。


もうそろそろで私たちの一生は終わるのにそれが通用すると思っているのか。


とりあえず、このじーさんとは昔からの仲だ。


「先生、いいじゃないですか。最後なんだし。」


自分の失言にハッとする。


最後?―。


それって誰の?―。


先生が困り果てた顔をしてその場から離れて行った。