「生憎だが私は君と出会った記憶がない。人違いだ。」

「えー」


彼は落ち込み、ふて寝を始めた。


なんなんだか、私の隣が騒がしくなった。


「はじめまして吉田くん!私、飯沼絵理。よろしく!」


休み時間、

絵理は私の隣のルイに挨拶をした。


「よろしく」


声のトーンが不機嫌そうだがこれぐらいの社交辞令は身についている年頃。


「吉田くんもプロフィール書いてくれる?」


すかさず絵理は彼にプロフィールの紙を渡した。


「いいよ、アイカも書いたの。」

「えっ、うん。」

「見せて」

「いや」


私は彼の申しに即答で拒否した。


「なんでー」

「見せたくないじゃん、そういうのって。」

「でも、私には見せたじゃん。」


ケロッとした顔で言う絵理。


空気読めよ。


「そうだそうだ!見せろや!減るもんじゃないだろ!」


わいせつなほうに聞こえるのはなぜだろう。


きっとそっちの意味じゃないと願いたい。


「じゃあ、俺のも見せる!それでいいだろ?」


なぜそうなる。


私は君の個人情報を知っても何もメリットを感じない。