SOUND・BOND


 
両手は後ろに回されているため、体で人を掻き分けていく。
 
後ろまで来ると立ち止まり、彼は辺りへ視線を巡らす。
 
何かを、誰か?を探しているような動きだ。
 
それは直ぐに見つかったらしく、再び歩き出した。
 
そして――


「お待たせ」
 

どうやら待ち人にたどり着いたらしい背中が相手に話しかけた。


「いや、然程待ってないけど?」
 

向こうも男の人みたいだ。
 
でも、この人混みの中からよく見つかったなと感心しつつ、真空は両腕に力を入れてお尻を少し浮かせるようにして、彼の肩越しから相手を確認する。
 
そして、彼が直ぐに見つかったことに納得がいった。


(えっ。カッコいい……)
 

自分を背負ってくれている彼も素敵だと思う。でも、それとは違う、なんだか可憐な雰囲気を感じる。
 
この暗さの中でも花が咲いているような不思議な魅力。


「その子、どうした?」

「なんか、女の子たちに絡(カラ)まれてたみたいなんだ。だから助け出した」

(え…?!)
 

気づかれていた。
 
たまたま転ぶところを助けてくれたのではなく、その前の女の人たちのことも見ていたのだ。