ジュビアはイギリス語で雨を意味するのだが、雨に連想されるものといえば、孤独とか冷たさ、寂しさといったものだろうか。しかしそれではこの連中には不似合いだろう。


「なんで雨なんだ?」

「お、陸燈は知ってたのか。意味ならタキは気付いたんじゃねえか?」
 

そう言いながら秋司は薫季を見る。
 
案の定、綺麗に結ばれた口元が軽く持ち上げられた。


「雨は俺たちが出逢うための道しるべだからな。まあ、たまたま出逢った時降ってたってだけだけど?」
 

道しるべという臭い台詞を誤魔化すかのように、最後は苦笑しながらおどけていたが、それを笑う者はここには一人もいない。


「ジュビアか~。いいじゃん!」
 

意味を理解した光は弾けたように賛成の声を上げた。
 
肩を竦める陸燈の耳元で、雫のピアスが小さく何かに反射し、輝いた。