『ありがと、おばさん』
そうハモった声が聞こえた後、3人が歩いてくる音が聞こえてきた。
ガチャ、とリビングのドアを開ける音が聞こえてドアの方に顔を向けるとお母さんの後に続いて見慣れた顔が2つ。
よく似た一卵生双生児の幼なじみ、佐川朔夜と奏夜。
「おふあおー」
もぐもぐとパンを頬張りながらいったら、うまく言えなかった。
「は?」
「おはよって言いたいんだろ」
奏夜は呆れた顔をして、朔夜はくすくす笑っていた。
「こら、紗雪。食べながら喋るのはやめなさい」
「…、ん。はーい」
ごくん、と紅茶で口の中のパンを流し込んで返事をしてお母さんを見ると、ふわっと優しく笑ってた。
あ、あたしの1番好きなお母さんだ。
お母さんの笑った顔はすごく安心する。苛々してても、悲しくても、お母さんが優しく笑ってくれて、頭を撫でてくれるのが、とっても好きだし、安心する。
お母さんみたいに、あたしもなれるといいなぁ。
「奏夜君、朔夜君、ソファにでも座ってて。今紅茶淹れるわ」
『ありがとうございまーす』
