自動ドア

ドアにはさまれた早苗は、思わず両手から荷物を落とす。

その場にいる全員が、必死で声をころしながら笑っている。

早苗に声をかけた店員が、全力で笑うのをがまんしながら、早苗に言った。

「お、お客様、自動ドアのところで遊んでいただいては困ります」

「誰がこんなとこで遊んでるのよーっ!」

頭にきた早苗は、顔を真っ赤にして叫んだ。

「早く何とかしてよ、もうっ」

早苗のその声に、男の店員数人が慌てて寄ってくるのだった。