自動ドア

早苗は自動ドアの前に立つと、ドアが気持ちよく開く。

そして、早苗が右足を踏み出したそのとき

早苗の落とした荷物を拾ったデパートの女性店員が、早苗に声をかける。

「あ、お客様」

「へ?」

振り向きながら、頭の悪そうな返事をする早苗。

そのとたん、またもやドアがいきなり閉まり出し、早苗の身体を左右からガンッとはさむ。

「ぴぎゃっ!」

まるで、カエルが猪に跳ね飛ばされたかのような悲鳴が、店内に響く。