この美しき世界で

バサクの戦士が獣と対峙したのとほぼ同時刻。こちらでは魔法による戦いが始まっていた。


誰しもが魔力を持っている。違いはその量が多いか少ないか。魔法を使えるか使えないかはそれに左右される。


人間族においても魔族においてもそれは同様。つまりは潜在的な才能の問題である。


単純に魔力があるから。魔法が使えるから。それが強いとは限らないのだが。


回復能力に特化したものもいれば補助に、攻撃に特化したものもいるわけだ。


だがここに立つのは攻撃能力に特化した魔導士。魔力のキャパシティも大きい。


そこに加えて練り上げるのは重厚にして濃厚な魔力の塊。一方は赤の衝撃。一方は紫の閃光。燃やし尽す炎。貫く雷。


「嫌だねぇ。人間風情が。勝てるつもりかねぇ。」


うすら笑いを浮かべているのは余裕なのか。それとも恐怖という概念自体存在しないのか。


「やってみなくちゃわかんないでしょ。悪いけど魔力で負けたことないのよね。」


強い口調で吐き捨ててもその額には汗が光る。相当に精神力と体力を消耗している証拠だ。


魔力の代償。限りあるものを絞りだしていく。