この美しき世界で

「まぁ…ちょっと焦ったけど。ね、セロちゃん。」

「…ブキィッ!?」

「ああ。お陰で身体が獣臭くなった。む、この豚意外に硬いな。」


もう一匹の背後。その脇腹をセロは斬り払った。予想以上に硬い皮膚に致命傷は阻まれたが巨大オークは傷口を押さえながら後退する。


やはり同様の方法で難を逃れた彼はひっそりと敵の背後へと周っていたのだ。


「舐めやがって!直接貴様らに魔法を叩き付けてくれるねぇ!」

「やべっ!」


ならばとメイジは手を広げ間の空間に魔力を集中させる。いくら耐性のある素材とはいえメイジの魔力。直撃すればただではすまない。


「あうっ!?」


しかし逆にその身に受けたたのはメイジ。風の刃が紫のローブと薄皮を斬り刻む。


「あんたの相手は私がしてあげるわ。」

「魔導士のねーちゃん!」


掌の上に魔力の塊を揺らめかせ近づくのは女魔導士。他の魔導士と違いまだ余力を残しているようだ。


「…馬鹿だねぇ。貴方は私を怒らせたねぇ。しかも魔法で私に挑むなんてねぇ。」

「ねぇねぇうるさいのよ。いいからかかってらっしゃいな。」


今度は炎を手に纏わせ彼女はメイジを挑発する。