この美しき世界で

「はっ…!はっ…!」

「魔力の殆どを使いきって…これか…!」


魔導士達は皆、その場に倒れるようにしゃがみこむ。彼らの魔力を合わせても相殺することが精一杯。あの雷雲にはそれだけの魔力が凝縮されていた。


そして直撃を受けたオークと共に横たわる戦士達。


「そ、僧侶!回復急げっ!」


運良く生きている者もいるが雷雲により壊滅的被害を受けた。僧侶による回復魔法を施してもすぐには行動出来ないだろう。


急ぎ回復に向かう僧侶達。だが更に彼等を追い詰めたのは遠方に映る三つの影。


一つは紫のローブを身に付けた魔族。メイジと呼ばれる魔法を操る魔族だ。雷魔法はこいつによる物だろう。


そしてメイジが従え歩くのは二匹の巨大なオーク。先程のオークよりも二回りはでかい。群れのボスといったところだろうか。


「魔導士の方々は粗方魔力を使いきったようだねぇ。戦士の方々はもう動けないようだしねぇ。」


ほほっと笑いながらメイジは徐々にその姿を近付けてくる。


「後は貴方達を葬って『リフス』制圧といこうかねぇ。」


メイジが手をあげるとオークが武器を掲げ怒号を上げた。