この美しき世界で

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最初に異変に気付いたのはナツだった。斧を振り上げたオークを薙払いながら頭を見渡す。


第六感とでも言うのだろうか。一瞬乱れた空気を敏感に感じ取り、そして叫んだ。


「やっべぇ!なんか来る!全員逃げ…いや物陰に隠れろ!」


それが言い終わったのとほぼ同時。既に天は暗雲に包まれていた。


そして、雷は降り注ぐ。


轟音を上げながら落ち大地を砕く。ある戦士は直撃を受け煙をあげながら果てた。あるオークは顔面にそれを喰らい身体を残し倒れた。


人間もオークも関係なく無差別に、雷の雨に飲み込まれていく。


「な、なんだあの魔法は…!」

「桁が違うぞっ…!」


後方から見ていた魔導士や弓使いは愕然とした。あの女魔導士ですら口を開けている。


「広範囲の…雷魔法。しかもこんなにも高レベルな…!」


はっと我に帰り女魔導士は叫ぶ。


「ありったけの魔力!あの雲にぶつけて!早く!」

「…!お、おうっ!」


今まで練った魔力だが仕方がない。このままでは前衛は壊滅する。魔導士達は手を前にかざしそこから炎を吐き出す。


それは暗雲にぶつかると混ざり合い溶けるように消えていった。