この美しき世界で

「もらいっ!」


そこに追い付いたのはナツ。腕を失ったオークの顔面をハルバートで叩き割る。


「セロちゃんだけに良いカッコはさせないよ!」

「言ってろ…。」


会話をしながらも二人の手は止まらない。ナツの後ろで腕を振り上げたオークの喉をミスリル製の刃が斬り裂く。


逆にセロの後ろをとったオークの腕をハルバートの尖端で刺し止め、刃で胴を薙払う。


「ブォォォォォォ!!」


獲物はたった二人だぞ。何をしている早く殺れ。そうかとでも言うようにオークの群れは彼らを囲むがその勢いは止まらない。


近付けば後に残るのは骸のみ。正面からは勿論のこと背中を取れども隙はない。抜群のコンビネーションがオークを翻弄していく。


幼少から共に手を合わせ歩いてきた二人はお互いの呼吸を重ねる術を知っていた。 乱戦になろうともそれは変わらない。


「俺達も負けるなっ!突っ込め!」


そこに合流したのは他の冒険者達。二人に翻弄されすっかり彼らに背を向けていたオークは後ろからの突然の攻撃に対応仕切れない。


運よく乱戦を抜け出したオークも弓使い達の放つ矢に全身を射抜かれ倒れていく。