この美しき世界で

二人が町の入口につくと三百人の戦士たちは既に隊列を組み並んでいた。


毎日を共に歩んできた戦士達だ。みな一様に清閑な顔つきで、突然のことにも覚悟は決まったという表情である。


絶望的な差があるわけではないが死なない保証もない。その中でこの戦士達の表情は救いだった。


「…いこうか。」


言えるのはそれだけだった。それでも戦士達は足を進めた。盾を左手に。剣を右手に。


戦士達は二人の後につき町から戦場へ向かった。


『ボーンナイト』。下級魔族の中でも強力な部類に当たる地獄の戦士。


魔族に殺された戦士達の亡骸が操られたと言われているが詳細は定かでない。


知能は余り高くないが戦闘能力は高い。そう伝えられる相手だ。


骸骨の行進は妙に恐怖を駆り立てる。


姿迫る大群を前に、戦士達は一匹たりとも町に踏み込ませぬように横並びに隊列を組んでいた。


「始まっちまったな。」

「ああ。まったくやんなるね。」

「死ぬなよセロちゃん。まだお前に一回も勝ってないんだ。」

「お前こそな。生きて帰って一杯やろうぜ。」