結婚事情

「必要があれば、車いすご用意しますから。落ち着くまでこちらでゆっくりされて結構ですよ。」

看護師さんは優しく笑うと、タツヤに一礼して部屋を出て行った。

タツヤと病室に二人きり。

なんだか気まずい雰囲気。

だって、タツヤ、あんなこと言うんだもん。

どんな顔してればいいか、戸惑うよ、全く。

なんとなく目が合わせられなくて伏し目がちに横たわっていた。

「大丈夫?」

タツヤが静かに言った。

点滴のおかげか、ずいぶん体は楽になったような気がした。

私はタツヤを見ずにうなずいた。

「よかった。こっちに来るまでは本当にねーさん辛そうで、俺も心配だったよ。」

一呼吸置いてタツヤの方に視線を向ける。

タツヤは本当に心配そうな顔をしてた。

こんな真剣な表情、初めて見た。

「今日は本当にありがとう。タツヤがいてくれて助かったよ。」

心からそう言った。

タツヤは少し頬を染めて、笑った。

「こんな俺でもねーさんの役に立つこともあるんだな。」

「ほんとほんと、初めて役に立った。」

私も笑った。