結婚事情

うちの母も母だ。

結局、送ってきてくれた見ず知らずのタツヤに頼んで、救急病院まで私を運ばせるなんて!

母に「何厚かましいこといってんの!」って渇を入れようにも、私は高熱で半分浮かされてる状態だったから、母の言いなりになるしかなかった。

気づいたら、タクシーに乗らされていて、その横には私の体を支えるタツヤが座っていた。

病院で診察を受けると、なんかよくわからない細菌性の強い風邪のようだった。

ちょっと危険だったらしく、すぐにベッドに寝かされ点滴を受けた。

その間も、私のそばにはタツヤがいた。


半分ぼーっとする意識の中で、私はとりあえず蚊の泣くような声で言った。

「ごめんね。タツヤ。もう帰って。」

タツヤは顔を上げて私を見た。

今まで見たことのないような優しい顔で。

高熱に浮かされているというのに、不覚にもドキッとした。

そんな顔で見ないでよ。

「俺、ねーさんのお母さんに頼まれたし、点滴終わったら家まで送り届けるから。別に今日は何も予定ないし気にすんな。」

相変わらず偉そうな口調で言うタツヤだったけど、今回は全く腹が立たなかった。

ただ感謝の気持ちだけが、ぼーっとする頭の中でぐるぐると回っていた。