帰る前にそっと遥の靴箱を開けた。
靴は入っていなかった。
また涙がこぼれそうになったが泣いてるとお父さんに余計な心配をかけてしまうので
我慢した。
そして、家に帰ってご飯を食べ終わるまで我慢して自分の部屋にこもって泣いた。
「お風呂あいたわよ~」
とお母さんに言われ、返事をした声が震えた。
明らかに泣いてるって分かる声だった。
少し時間が開いてガチャっと一瞬扉があき、一切れの紙がひらりとあたしの部屋に舞い降りてきた。
おられてて、開くと。
『明音。何か悩みがあるならいってね。一人で抱え込まないで。一人で支えきれなくなったらお母さんもお父さんも一緒に支えるからね』
とお母さん特有の丸っこい子供みたいな字で書いてあった。
余計涙が出た。


