あるところに二匹の猫がいた。



 黒猫と白猫。



 お互い好んでその場所を住みかにしたわけではなく、なんとなく流れ着いたのだ。



 それに雨風をしのげる屋根と壁もあれば、日に何度か食事にもありつけた。



 だからその場所から流れようとはしなかった。



 先に流れ着いたのは黒猫で、あとから来たのは白猫。



 けれど黒猫は迎い入れるわけでも威張ることわけでもなく、いつものように過ごしていた。



 白猫も媚びる様子もなく、のんびりと過ごしていた。