ただ あなただけ・・・


「・・・・・・名前で呼んでくれ・・・今までみたいに・・・・・頼む・・・・」


肩に回された腕に力が入った。


・・・・こんなに取り乱した聡志、見たことない・・・。一体何に怯えているの?私の事―――……・・・・




「・・・『聡志』・・・・もう帰らなきゃ・・・・。ね?最近あんまり寝てないでしょ?顔がやつれてる。駄目よ?ちゃんと睡眠時間とらないと。ほら、車に乗って」


緩くなった腕をやんわりと外し、代わりに手を握った。


彼は無言で車に乗り込むと、妃奈の手を名残惜しそうに離した。