ただ あなただけ・・・


「・・・・・・・・・・・・・・藍沢主任・・・・?」


暗がりなので顔ははっきり見えない。しかし、雰囲気がそんな感じがした。


「・・・・二人だけだろ?名前で呼んでよ?」

ぼんやりと彼の顔が見えてきた。彼は右手に持っていた袋を、妃奈に差し出した。


「・・・こんな時間に人が居るとは思わなかったので」


ついつい棘のある声で言ってしまった。

「どうしたんですか?こんな時間に」


彼から差し出された袋を受け取りながら言った。