しばらくじっとしていても、物音はしない。先程のは、ただ何かが倒れたかもしれない。


気を取り直して再びパソコンに向かった。



「・・・・・・・・お疲れ」


「っきゃあぁぁぁ・・・・・・・・!!」


突然肩越しに男の低い声がした。


妃奈は驚いて飛び上がってしまった。何も足音がしなかった。誰もいないと思っていたから。


背後からはクスクスと笑い声がした。恐る恐る振り返って見ると、口元に手を当てて必死に笑いを堪えている人影が見えた。