ただ あなただけ・・・


「ふぅーー・・・」


思わずため息が漏れる。何を言いたかったんだろう?あんな顔、見たことは今まで無い。


「ひーなー!終わったぁ?」


みちるだ。私はパチパチ、と頬を叩いてトイレを出た。


エレベーターに乗り、一階に降りた。なるほど、いつもより女性社員が多い。


外に出ると、太陽が眩しい。目を細めて見ると、ベンチに若い男が座っている。


すると、ポケットで携帯が鳴った。


――誰だろ・・・――


見ると知らない番号からだった。とりあえず切れるまで待っていたが、なかなか切れない。


ふとベンチの男を見ると電話を掛けているみたいだ。